2017.08.01
ジェネリック農薬で価格は安くなるか
農林水産省は、農薬取締行政の見直しの検討を行っており、その一環として再評価制度の導入する方針を明らかにしている。これは、政府与党の農業用生産資材の価格が割高だとの指摘から、国内の農薬価格について様々な意見やその対応が出されています。その1つに日本の農薬価格が高いのは、ゼェネリック農薬があまり普及していないからではないかとの声があります。農水省の調査報告では、ゼェネリック農薬の使用比率は韓国の23%に対し、日本では5%に留まっています。
ゼェネリック農薬の普及が遅れている理由としてまず上げられるのが、現行の日本の登録制度では、農薬登録に必要な残留農薬試験や各種毒性試験にかかる費用が新規農薬とほとんど変わらいということです。それにEUなどに比べ農薬原体の知的権利の保護期間が長く、これらがネックとなっています。
こうした問題提起を受け、農林水産省は来年度から、農薬取締法の運用を国際基準と合わせる方向で見直すようです。具体的には現行制度では、農薬を使う対象となる全作物で作物残留試験を求めていますが、同じ作物群なら一部試験を省くことで、果樹類から順次進めるとのことです。また農薬原体を製造方法で管理する現行制度では、有効成分が同じでも通常の農薬と同様の安全試験が必要ですが、欧米同様の基準を導入し、有効成分と不純物の組成が同じなら一部試験を不要とするなどです。
JA全農では「農産物の安全・安心を確保してきた日本の登録制度を尊重しつつ、農薬の価格低減に資するために、他の先進国並みのジェネチック農薬の導入が重要」と考え、「ジェネリック農薬の適切かつ速やかに導入普及を図る」ことを目的に、協賛各社と「日本ジェネリック農薬協議会」を昨年12月に設立しました。JA全農は過去に農薬メーカーと共同で、特許切れ農薬の開発を、制約の多い現行登録制度の中で苦労して行い、マンコゼブ(商品名ペンコゼブ)、アセフエート(商品名ジェイエース)の登録を取得して、現在も取り扱っており価格を大きく低減させた実績があます。この経験と実績を生かし、協賛メーカー(4社)のノウハウとあいまって、協議会設立の趣旨書にあるように「登録要件、品質管理、技術普及のあり方」について協議・検討し積極的に関係機関、団体に提言することを期待しています。